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Tech Report  U-HOPレポート

■エアロチャンバーリポート〜旅情編〜理想の可変ホップを求めて■ by OBARA  2003年12月27日改訂


草が揺れた。
ブッシュの隙間から慎重に観察する・・・敵だ。
距離にして約30m、射界は枝葉の間に30cmほどの空洞が確保されている。敵はまだこちらには気づいていないようだ・・・スコープ越しの映像が冷酷にその事実を伝えている。
風はない。
無駄な力を抜き、呼吸を整え、犠牲者を弔う黒く細い十字架を見つめて・・・激発!
「ママ〜〜〜! 弾が届かなかったよぉ〜〜〜うぇ〜〜〜ん!!!」
 こんな経験をしないためにも、1J前後のスナイパーライフルにはHOPが必要だ。


「6mmBB弾とHOP」


 まず最初に筆者の思い出話をさせていただきます。特に珍しい情報などはないと思いますので、関心のない方は読み飛ばしてください。
 筆者がサバイバルゲーム紛いの遊びを始めた頃、エアガンにはHOPなど搭載されていなかった。それどころか、弾は7mm鼓弾だったり、最新の6mmBB弾を発射するモデルもカート式だった。ウッドランド柄のカートキャッチャーを最新鋭のファル○ントーイMP5SD3やマ○ゼンミニUZIに装着して、野山を駆け回っていたのだ。筆者の記憶によれば、当時の有効射程距離は10m未満。最大の脅威はマ○シンM1カービンで15mくらいからでもたまに当たった。コッキングのあまりの重さに2発目から射手の動きが止まるため、初弾さえ喰らわなければカモに出来た記憶もあるが・・・当然のことながら、記憶は筆者の主観によって捻じ曲げられている可能性があるので、正確な有効射程距離に関するツッコミはご遠慮願う。M1カービンが最強だったのも、当時筆者が付き合いのあった友人の間だけでの話である。「SS9000で6mmBB弾が撃てる!」当時のマク○ナルドのストローにBB弾がぴったり入った。7mm鼓弾用のカートの中に繊維質のカラーを挿入してBB弾を撃つことが出来るものも発売された。より強いスプリングなども販売されて、あっさりとM1カービンの地位を奪った。筆者は過去一度もSS9000を所有したことがないので、機関部についてはわからないのだが、大容量シリンダーと強力なスプリングの組み合わせが初速アップを容易に実現したのではないだろうか。アルミ缶の両面抜きが当たり前になりつつあった。
 しばらくしてから、どこかのショップが「ケースレス加工」という改造を始めた。SS9000やマルゼンのKG9、ミニUZIなど、カート式の煩わしさから我々は解放された。モデルガンとエアガンの棲み分けが進んだきっかけにもなった発明だったのではないだろうか。ポンプアクションというコッキングシステムもこの頃流行し、飛距離とファイアパワーがどんどん伸びていった。

モデルガンメーカーだった○GCからもベレッタM93Rというそれまでに見たことも聞いたこともないハンドガンが発売された。パワーソースはフロンガスだった。このモデルは最初からケースレス方式が採用されていて、最初期モデルは15発という今までのハンドガンの常識を覆すファイアパワーだった。そして当然のようにセミオート(ダブルアクション)で撃つことが出来た。筆者は後にベルトコンベア拾弾のキャリコ1000も購入した。
アサヒ○ァイヤーアームズからフルオートガスユニットが発売された。エアガンはついにトリガーを一度引くだけで大量のBB弾を発射できるようになった。高校進学の時期だった筆者は、親戚を回って集金した祝い金でJ○C製のUZIを購入した。ロングバレルユニットとバレルウェイトとブースターも購入した。シリコンオイルをポケットに入れ、真夏での快調すぎる作動に酔いしれたものだ。
今やエアガン界の一世を風靡している東京マ○イだが、割り切り過剰のデザインやモナカなガワが酷評されつつも、当時から命中精度だけは良かった。アルミの安っぽいバレルを採用しながら面白いように良く当たった。G3A3(当然コッキング)、スコーピオン(発光トレーサー内臓)などを当時購入したが、空き缶などを的に10m程度でほぼ必中のプリンキングが楽しめた。こうして振り返ってみると、当時のエアガン開発の勢いには凄まじいものがあった。
 しかし、HOPの出現はもう少し先の話だった。エアガン雑誌の広告などで「ホップ」「0.4ジュール」などという記載を目にした記憶も微かにあるのだが、その頃既に筆者の関心はエアガンから離れつつあった。ブラックミュージックやHIPPOP(当時風の呼称)、米軍基地、文学、哲学、宗教学、麻雀、単車、そして同世代の女子に熱を上げているうちに、エアガンのことなどどうでもよくなっていった。

それから15年の月日が流れた。
ある日筆者は、ネットサーフィンをしていてエアガン関連のサイトに辿り着いた。元々好きだったこともあり、そのサイトを皮切りに転々と流れて行くにしたがって、現在でのエアガン事情がわかってきた。あの東京マ○イが業界内トップになっていたのだ。モーターとギアを組み合わせたメカでピストンを引くフルオート機構と独自のHOPシステムが他社の追随を許さないレベルにあるようだった。
「マ○イ!? あのワルサーMPLのマ○イが業界トップ!?」
30代のサバゲ出戻り組ならこの感慨をわかってもらえるだろう。ガンプラのパチを作っていたメーカーが精巧な作動を売りにしたトイガンで大成功していたのだから。実物を確認しないことにはどうにもならないと感じた筆者は、その場でラージバッテリー仕様のモデルをネット通販で申し込んだ。ブツは翌日には届き、自室で初の電動フルオートを堪能した。ガスフルオートと比較するとリコイルは弱かったが、そのサイクルの速さに頬が緩んだ。すぐに外で撃ってみたい衝動に駆られた。

神奈川県の片田舎から都内で一人暮らしを始めていた筆者は、まず試射をする場所に困った。23区内には野山がない・・・ならばと思い某川の河川敷にその場を求めて単車を走らせた。人気のないところを見つけてバッグから電動ガンを取り出す。15年の歳月により、世間の目を気にするようになっていた自分に苦笑する。かつては公園などで平気な顔をしてプリンキングを楽しんでいたのだから。人間の頭くらいの大きさ、ということで、かぶってきたヘルメットにコンビニの白いビニールをかぶせる。1歩50cmと考えて60歩、約30mのところに設置した。特にサイティングせずにフルオートでおもむろに撃ってみると・・・半分の距離も飛んでいなかった。すぐにHOP調整レバーの存在を思い出し、調整幅の半分ほどまでHOPをかけてみる。6mmBB弾は目標のヘルメットを飛び超えていった・・・筆者は我が目を疑った。0.2gの軽いBB弾は広範囲に散っていたが、HOPにより回転を与えられて途中から上昇し、遥か遠くまで飛んでいた。15年前のハイパワーSS9000よりもだ。よほどパワーが出ているのではないかと思い、的に使おうと持参していたアルミ缶を至近距離で撃ってみた。しかし片面すら抜くことはなかった・・・
 HOP調整をしているうちに、弾が上昇するほどHOPを強くかけると着弾がバラけることに気づいた。水平に飛んで行って自然な軌道で落下するギリギリに調整しても、若干仰角をつけてやれば遠くのヘルメットにカンカン当たった。豆粒よりも小さい、若干6mmのBB弾を30m以上飛ばす現在の技術に感動した。フルオートで撃ちながら補正してやればヘルメットに連続して何発も当たるほどの命中精度にも驚いた。筆者はすっかり浦島太郎になった気分だった・・・こんなベタな言い回しを自分がするとは思わなかったが、それほどまでにエアガンは進化していたのだ。
 個人的な思い出話や思い込み話につき合わせてしまってすみませんでした。読み飛ばした方は賢明だったかもしれません。


「命中確率と射撃術」


今回のレポートに登場するアキュラシーという単語は「命中精度」という漠然とした意味ではありません。あくまでも30mテストを前提とした連続10発でのグルーピングを意味しています。狙撃万歳のKAKIさんが唱える「命中確率」に近いかもしれません。30mテストに関しての詳細は別コンテンツを参照してください。
また筆者は、いつどこで誰が撃っても当たるAPS2についてのお話をするつもりはありません。誤差の序列は「マルゼンSGM弾<ライフルの各部パーツ<射手<気候条件」の順に並んでいると筆者は考えています。屋外で射撃するかぎり、気候条件ばかりは人間にはどうにもできませんが、狙ったところへ弾を飛ばしたいと考えるのなら、まず射撃術を真剣に考えてください。ガニー軍曹の射撃講座はとてもためになります。彼の立射姿勢を間近で見れば誰もが納得するでしょう。その美しさにため息がもれます。
正しい射撃術を身に付けることができれば、命中確率は間違いなく向上します。

「エアロチャンバーネオとマルイ式HOP」


 ここからようやくHOPに関するお話です。
最初にお断りしておきますが、筆者がイジッたことのあるAPS用のチャンバーはPSS2のエアロチャンバーネオだけです。FALSやPDIの可変HOP、ちくわとくらげ、電気くらげなど色々なHOPパッキンやチャンバーがアフターパーツとして売り出されていますが、それらについては実物を見たことも触ったこともありません。「筆者は井の中の蛙」です。純正EXの可変チャンバーもロクに触ってませんので、色々とツッコミを入れたくなるところがあるかもしれませんが、ご了承ください。
 なぜエアロチャンバーネオなのか? マルイ式HOPが流用できるからです。
 なぜマルイ式HOPなのか? 筆者の知る限り、マルイ式HOPを悪く言う人間がいないからです。
 マルイ式HOPならPDIの可変チャンバーでもいいのでは? ゴホッゴホッ・・・ごめんなさい、勉強不足です。
 筆者はエアロチャンバーネオやマルイ式HOPが現時点でベストの選択であると主張したいわけではありません。エアロチャンバーネオとマルイ式HOPをネタにして、理想の可変HOP構造を探ってみたいのです。
 そうそう、なぜ可変HOPなのか? 固定HOPの方が安定するのではないか? という疑問が当然わき上がってくるでしょう。筆者はサバイバルゲームでの運用を前提にアキュラシーを考察しているため、真夏や真冬でも調整の幅が取れる可変HOPを推奨・・・というのは建前で、これもやはり勉強不足です。
 筆者が初めてAPS2を購入したのは5ヶ月前、APS2のアキュラシー向上を真剣に考え始めてからわずか2ヶ月少々。貧乏な未熟者ですので、ご意見やご感想、罵倒したいことなどがあればきゃさりん工房の掲示板などにどしどしカキコしてくださいm(_ _)m

「エアロチャンバーネオの構造」


エアロチャンバーネオの全パーツです。
下にあるのはプロメテウスのEGバレルです。

 エアロチャンバーは、アウターバレルとの間に挟まれた「くの字」の板バネでレバーを押し下げ、下からのイモネジでレバーの可動域を調整する方式です。レバーはシムゴムを介してHOPパッキンにテンションをかけます。
アウターバレル>板バネ>レバー(チャンバー)>シムゴム>電動用HOPパッキン>インナーバレル>BB弾
となります。詳しくは画像をご覧下さい。これが固定HOPになると
 アウターバレル>チャンバー>HOPパッキン>インナーバレル>BB弾
 になるのだと思います。
 
パーツ点数が増えるほど各部で射撃毎の誤差が出るため、可変HOPは固定HOPと比べてアキュラシー上では不利だと言わざるを得ません。しかしサバイバルゲーマーの方々には季節やその日その日の天候状況に合わせてHOP調整出来るメリットをわかっていただけるのではないでしょうか。出来るかぎりフィールドではライフルをバラバラにしたくないものだと筆者は考えます。かといってHOPパッキンに不具合が出たまま不本意な弾道でゲームをしていても気分がスッキリしないでしょう・・・そのために可変HOPを採用するという案は理にかなっていると思いますがどうでしょう?レギュレーションなどによるBB弾の重量制限などにも、すぐに対応できる点で有効ではないかと思います。

「エアロチャンバーのポン付け」

このように0.1mmのステン板を通路沿いに貼りつけます。清掃脱脂をきちんとしてから作業した方が良いでしょう。 レバー根元にセットするシムです。このように大きな外径のシムをセットする場合は前方だけでなく、上部分もカットしましょう。チャンバーからシムがはみ出ていると、アウターバレル内に引っかかります。

 ポン付けだからといってバカに出来ません。筆者の知人である現用(現役ではない)海兵隊員はエアロチャンバーネオをAPS2−SVにポン付けしただけで、30m室内無風10発・128mmのグルーピングを叩き出しています。レストした椅子の性能が素晴らしかったとの説もありますが、残念ながら未確認です。
 筆者も当初ポン付けで試射に臨みましたが、その効果には驚きました。
 電動の命中精度なんて目じゃないぜ!と信じて疑わなかったのですが、こぐ大佐主催の30mテストでその思い込みは脆くも崩されてしまいました。エアロチャンバーを組み込んだAPS2はことごとく大佐の電動M4改に記録上惨敗しています。
 しかしエアロチャンバーネオにはチューンアップの余地が残されています。
 お手持ちのエアロチャンバーをゴミ箱に投げ捨てる前にご一読ください。


「エアロチャンバー本体を改善する」


 エアロチャンバーネオにはいくつかツッコミを入れたくなる箇所があります。
 最大のポイントは、レバーを押さえている板バネが上についていることです。想像してみてください。BB弾がHOPパッキンを通過する時、パッキンは上方向に逃げます(逃げないとBB弾はそこで詰まって発射されません)。パッキンの上にあるシムゴムがそれを受け止めます。そのシムゴムをレバー(とそれを支持しているチャンバーブロック)が受け止めます。そのレバーを板バネが受け止めます。その板バネをアウターバレルが・・・ってオイ!どこまで受け止めれば気が済むんだよ・・・包容力ありすぎです。50代の大企業重役並みの寛容さ(愛人限定)です。
 せめて板バネがレバーの下に入って、イモネジで上から調整する方式であれば、受け止めるのはレバー(の上のイモネジ及びチャンバー本体)までで済みます。結婚を意識し始めた20代後半男性一般の包容力になります。人間社会では包容力はモテに繋がりますが、HOP構造においては過剰な包容力は考え物です。パーツ点数が増えるほど、射撃毎の誤差を管理するのが難しい・・・おわかりいただけたでしょうか。
 しかしこの構造には利点もあります。組み付けをしやすいのです。イモネジを上に取り付けてしまうと、アウターバレルにレンチを突っ込む穴を開ける必要が出てきます。PDIのM40A1用の可変チャンバーがこのような構造であると聞き及んでいます。せっかく実銃を模しているライフルなのですから、そんなトコに穴が開いてたらカッコ悪いと感じるユーザーもいることでしょう。その辺を考慮してのデザインなのではないかと筆者は推測します。
 次に挙げる欠点はレバーの横方向のガタです。大量生産を前提としている設計のため、公差を考えてか、レバーとチャンバーブロックとのクリアランスにかなりの余裕を持たせてあります。チャンバーブロックに塗装を施してあるので、そのムラも考慮してこのガタを大きめに取ったのでしょうか・・・先ほど挙げた点で上下の可動誤差に対しても不安がありましたが、このレバーのガタのために左右のガタまで心配しなくてはいけなくなりました。可変HOPの宿命です。
 命中精度を意識したチューンを考え始めると、パーツのガタが嫌いになります。ついでに言うと、筆者は過去の女性遍歴などについてガタガタ言う女性も嫌いです。筆者の心にはシムゴムも板バネもありませんので容易に弾詰まりします。わけがわからなくなってきたので、話をレバーのガタに戻します。
 このレバーのガタは簡単な加工で解消できます。
 まずレバーを根元で留めているイモネジを外してください。1.27mmの六角レンチで緩めることができます。ネジロックが塗布してあるので、破損に気をつけながら落ち着いて作業してください。これでレバーがチャンバーブロックから取り外せます。
次に、レバーを落とし込んでいた通路の両壁に0.1mm厚の金属片を貼り付けます。筆者は金属用の耐振動瞬間接着剤でステンレスの金属片を脱脂してから貼り付けました。金属片は現物合わせでちょうど良いサイズに切り出してください。さらに神経質な方は両壁の塗装を細かいペーパーなどで剥がしてから0.2mm厚のものを貼り付けると良いかもしれません。そもそもなぜ塗装を施してあるのかも疑問です。強力な皮膜でもなんでもなく、硬いものでちょっと擦ってやればあっさり剥がれてしまう塗料です。アウターバレルに突っ込むときに、APS2とチャンバーの製品公差を埋めるための苦肉の策なのではないかと筆者は推測しますが・・・真実は不明です。単純にカッコイイからかもしれません。
 作業が完了したらチャンバーを清掃してレバーを元通り組み付けます。イモネジに付着した古いネジロックのカスもキレイにしましょう。イモネジを脱脂してからネジロックを再塗布してやれば完璧です。この時、レバーの根元にシムを入れてあげましょう。当然のようにここもガタガタだからです。丸いシムワッシャをカットしてD形にしてやると無理なくセットできます。C形になるまでカットしてしまうと歪む恐れがあるので、D形をオススメします。筆者は最初0.1mm厚のシムを左右に入れていたのですが、0.2mm厚のシムでも結構です。ただし0.2mmのシムを入れた場合はかなりキツくなります。オイルか研磨剤を塗布して擦り合わせることをオススメします。ガタがなくなっても可動部がスムーズに動かないようでは逆効果です。使用時も潤滑は必須です。
次に挙げる点はバレルをチャンバー出口で支持しているOリングです。
ここにOリングを採用した意図が筆者にはわかりません。おそらくはマルイ純正から各社電動用バレルの外径差に対応できるように、とのことでしょうが・・・振動を吸収するような狙いもあったのかもしれません・・・どちらにしても、バレルの根元が動きそうな素材で固定されているのはキモチ悪いです。こちらの改善案は後ほど別項で触れます。
 
 最後になりますが、これが「筆者のエアロチャンバーネオ」最大の欠点です。
 エアロチャンバーネオに説明書通りにバレルをセットしてからAPS2本体に組み込みます。マガジンレールが後ろのものと平行になるように注意して、アウターバレルに共締めします。シリンダーを引き抜いた状態のレシーバーを後方から覗いてみると、マズルからの光で円が見えます。エアロチャンバーのレバーの可動域を決めているイモネジを緩めてやって、HOPを出してみます。
 H O P が 右 側 に 傾 い て い ま す 。
 これを真っ直ぐにしようと左側にオフセットすると、マガジンレールが右に傾いてマガジンを挿入できなくなります。
 この現象は筆者のエアロチャンバーネオだけのものかは不明ですが、同じ時期(2003年4月)に購入した知人のエアロチャンバーネオもやはり同じ現象が起きているようです。製造ロットによる不具合かどうかも今のところ不明ですので、最後に挙げさせていただきました。貴方のエアロチャンバーネオは大丈夫でしょうか。
 対処方法として考えられるのは、バレルをエアロチャンバーネオに挿入するときに予め回しておくことです。しかしHOPパッキンはシムゴムによって斜めから押されることとなります。回しすぎるとHOPパッキン内部の出っ張りの範囲を超えてしまう場合がありますので程々にしておいたほうが良いでしょう。また、筆者が組み込んでいるばちかぶりバレルは、HOP用の穴が左右に広いので、ある程度まではこの方法で対処できます。
 次に考えられる手法は、シムゴムを斜めにカットする方法です。ゴムやシリコンのような硬めの丸棒をシムゴムに用いていればこれが可能です。しかしこれもやはりHOPパッキンに左右均等なテンションをかけることが難しくなってしまうでしょう。
 マガジンレールに開いているネジを入れる穴を横に広げるのが最も効果的かもしれません。アウターバレルに開いているマガジンレールを受ける穴のように横に広げてやれば、チャンバーもレールも真っ直ぐに取り付けることが出来るでしょう。筆者はまだ試していないのですが、この方法がもっとも効果的なのではないかと考えます。
 スコープをマウントごと斜めに傾けてセットするという荒技も考えられますが、取り返しがつかなくなるので止めておいた方が無難でしょう。
 実際、アキュラシーを考えたときにこれがどの程度の不利になるか、筆者にはまだわかりません。曲がったバレルでもグルーピングには影響しないと豪語される方もいます。筆者のAPS2に右曲がりの弾道が多いのは事実です。ある程度の距離(25m前後でしょうか)まではレティクルの縦線に沿って飛んでいくのですが、途中から微かに右へスライスします。毎回同じようにスライスすればグルーピングには影響しないのかもしれませんし、4倍程度の倍率で撃っていたら気づかないレベルなのかもしれません。これを自分のライフルのクセだとわかった上で射撃すれば、サバイバルゲームで使用した場合にもそれほど不具合は出ないのかもしれません。フィールドで横風が吹いていればこの何倍も左右に曲がって飛びます。
 でも正直に言って・・・曲がり弾道はキモチ悪いです。
※筆者注
2003年10月にエアロチャンバーネオを新規でもう一度購入してみました。
こちらの製品には上のようなHOPの傾きは見られませんでした。
やはり初期ロットの製造不良だったようです。
 筆者が思いつく限りのエアロチャンバーネオの欠点は以上です。
 中には欠点と呼べないものもあるかもしれませんが、各パーツに設計上の働きをさせるためには各部に手を入れてやった方が良いと思います。
 次はいよいよHOPパッキンとシムゴムのアレンジについてお話します。

「電動バレル用HOPパッキン」


 各社から発売されている電動バレル用のHOPパッキンですが、ズバリ東京マルイ純正のものをおすすめします。筆者はシステマとエアロチャンバーネオに付属していたHOPパッキンを使用してみましたが、特に純正よりも良い結果は得られませんでした。それならば純正のものが最もコストパフォーマンスに優れています。
 エアロチャンバーネオに電気くらげを組んでいる知人のAPS2を撃たせてもらったことがあるのですが、これもかなりの好グルーピングを記録しています。30mテストでの最高記録は120mmです。しかもこの人物は今までに10発3回を5周程度しかテストしていません。最後にテストしたのが2003年8月23日でしょうか。条件の良い日に再度テストしていただきたいです。電気くらげは筆者もいずれテストしてみるつもりです。
 次は筆者が組んでみたHOPパッキンとシムゴムの組み合わせについてレポートします。
 基本的に、全てばちかぶりのフローティングバレル(AK−47用)に組んだものです。このバレルを使用されている方は少ないかもしれませんが、電動バレルとエアロチャンバーを組み合わせている方々に新たなアレンジ手法が閃くきっかけになれば幸いです。

「純正HOPパッキンと親方ゴム」


 狙撃に関して筆者の師匠である親方からいただいたありがたいゴムの丸棒です。APS2初心者の筆者にエアロチャンバーを薦めてくれたのも親方でした。親方は上の項で触れた電気くらげを組んだAPS2−SVのオーナーであり、狙撃万歳主催:第1回スナコン王者(現在のスナチャレ)でもあります。
 筆者がAPS2−EXを購入して程なくこの丸棒をいただきました。正体は直径3mmのゴムの丸棒です。東急ハンズの素材売り場でリールに巻かれて10cm単位で販売されています。スポンジのような柔らかい物も販売されていますが、これは硬い方の丸棒です。
筆者にシムゴムやチャンバーにはアレンジの可能性があるということを気づかせてくれた最初の素材でした。
エアロチャンバーネオの太いシリコンの丸棒とこれを交換して3ヶ月ほど使用していました。残念ながらこの組み合わせでは30mテストをしていないのですが、サバイバルゲームでは不満のない集弾が実現できます。風のない日であれば、30mで人間の上半身を外すことはまずないでしょう。もちろん冷静に射撃できた場合ですが。
 組み込みの際に気をつけていただきたい点があります。エアロチャンバーの穴とシムゴムの左右幅をきっちりと合わせてください。きつすぎて丸棒が歪んでしまうのも問題ですが、緩いのはさらにマズいです。せっかくレバーのガタを取っても、ここがズレてしまうようでは意味がありません。この注意点は全てのシムゴムに共通しています。

「純正HOPパッキンとUHOP」


筆者が製作したUHOP部品です。ジャンクパーツと一緒にしていたらホコリだらけになってしまいました。

 こぐ大佐が30mテストを開始したとの報を聞いて、最初に採用したのがこの加工です。それまでは充分だと思っていた性能ですが・・・筆者が不参加だった第一回30mテストでの的紙画像を見て、大佐の電動M4改にはとても太刀打ちできないと感じてこれを試してみました。
 UHOPの発想の原点は、上部2点支持による仮想の面での弾の保持と、飛行方向に対するHOP回転へのガイド、というものでした。HOPパッキンを押す部分をプラ棒に任せて、パッキンのズレを少なくするという目的もありました。
 果たして筆者の思惑通りの効果が出ていたのか・・・正確には不明ですが、グルーピングは向上していたと思われます。これより前の的紙が存在しないために具体的な比較は出来ないのですが、あきらかにフライヤーが減少していました。ゴルフなどでは上方向に飛び上がってしまう弾道をフライヤーと呼んでいるようですが、ここでは上下左右全ての方向に少ない確率で外れていく着弾を指しています。この1〜2発さえなければ・・・というありがちなアレです。この頃は10発中1〜2発どころではありませんでしたが・・・
HOPパッキンとBB弾の接触面を横に長く取ってやると、毎回の回転方向が安定すると筆者は考えます。詳しくは図をご覧ください。
 UHOP加工に使用した素材は、直径3.2mmの丸棒を半円柱型にカットしたプラ棒(東急ハンズ模型パーツ売り場)に同じ幅で約3mm厚にカットしたソルボセインのソフトで、この2つを貼り付けました。
 第二回命中精度テストのレポートでも書きましたが、ソルボのソフトはエアロチャンバーのレバーですぐにザクザクになってしまいました。スーパーゲル(水色)という緩衝材とも組み合わせてみましたが、ソルボソフトよりも硬い素材とプラ棒との組み合わせは調整幅がシビアで、尚且つ不安定でした。
 現在私のAPSに採用しているスーパーゲル(透明)などの柔らかく弾力のある素材でいずれ再テストしてみたいと思っています。UではなくV字に切り欠きを入れても面白いかもしれませんし、その幅も色々と試してみたいと考えています。


「純正HOPパッキンとパイパツキン」


 最初にアイディアを出し、自らテストしたのはこぐ大佐でした。筆者のUHOP加工で、パッキンやシムゴムを改良することが内輪でちょっとしたブームを引き起こし、その中で生まれた手法の一つでした。加工されたばかりのこぐ大佐のバレルを覗き込んだ筆者は「これだ!」と思いました。筆者がUHOPで求めたものとは微妙に違うものだったのですが、天下のマルイが採用しているだけあって成形精度が素晴らしく、当然バリなどはありませんでした。筆者が作製したUHOPの貧乏くささは微塵もありませんでした。
 東京マルイ製のガスリボルバー、リニューアル版コルトパイソンに使用されているV字の溝が切られているパッキン(以下パイパツキン)を電動用のバレルに組み込んだものです。電動用の純正HOPパッキンをかぶせてはいますが、これはあくまでもバレルをチャンバーに固定して気密を取るために使用しているだけで、HOPをかける仕事はパイパツキンが受け持ちます。電動用パッキンは裏返してHOPの出っ張りをキレイに削り取ります。バレル下の溝にはめるゴムの突起も手前から10mm程度カットします。これはパイパツキンがその部分の溝を塞ぐ格好になるからです。
この組み合わせに関しては、罰カブリではなく手持ちのTNパーフェクトバレル(AK−47用)を使用しました。バレルそのものに切削加工を施さなければいけなかったので、高価なばちかぶりでテストするのが躊躇われたからです。元に戻せなくなりますし・・・
シムゴムはソルボセインのソフトを使用しました。パイパツキンは元々固定HOP用のパッキンですので、バレルにセットした時点で既にバレル内に顔を出しています。パイパツキンそのものに抜弾時の逃げを考慮した凹みもあります。ガス・コルトパイソンはバレルにハマッたパッキンの上にカラーがかぶせてあるそうですが、筆者は未確認です。
電動用パッキンをかぶせているだけでは、BB弾通過時に不安定になるのではないかと筆者は考えて、ソルボソフトで微かに押さえてみました。ここにパイパツキンを流用する最大の弱点があります。HOPを弱めることができないのです。バレルにパイパツキンをはめ込む溝の深さが、HOPの最弱位置になります。これが後にアダとなりました・・・
バレルのパイパツキン加工は自宅レベルの加工技術では不可能な作業です。旋盤とその操作に熟練した職人技が必要です。筆者はムサシノ製作所のエガワさんに加工をお願いしました。最初はパイパツキンが完全にバレル内に沈まない程度にバレルを加工していただきました。こぐ大佐の例から、1J付近においては完全に落としこまない程度で適正HOPがかかることを教えられていたからです。
30mテストでの筆者の最小グルーピングは134mm、パイパツキンを組んで初撃ちとなる日に出したものです。少人数でテキトーに撃ち会をした時のもので、これは非公式記録になっています。スプリングもPDIのSPR100を組んでいたので、0.2gで110m/s前後の初速が出ていました。この時は高初速がグルーピングに貢献していると信じていたのですが・・・ちなみにこの日からシリンダー関係をフルノーマル状態から桑田のブラスシリンダー・ピストン・ミディアムカップ・ガイド、スプリングをPDIの太径へ変更しました。シアA・BとセットピンもPSS2のステンレス製の物に交換しています。
TNバレル・パイパツキン加工を施したこぐ大佐・電動M4改の最小グルーピングは110mmでした。その直後に115mmをも記録しています。筆者のAPS2よりも俄然安定していました。
筆者のパイパツキン仕様は日に日にグルーピングが広がっていきました。今にして思えば、油分がパッキン周りに浸潤して、バレルとパッキンの関係が不安定になっていたのではないかと思うのですが、その時はパイパツキンがヘタッて来ているのではないかと考えてしまいました。狭い溝に無理矢理突っ込んでいるので、HOPのまわりが目に見えないレベルで変形しているのかもしれない・・・その思い込みが、筆者にさらなる加工を決意させました。パイパツキンの完全な落とし込みです。再度エガワさんにお願いして、パイソンに使われているものと同じ状態になるようにバレルを更に切削していただきました。
結果は悲惨の一言でした。HOPが強くかかりすぎてしまったのです。夜間射撃だったのではっきりと弾道を確認していませんが、問題外のHOPの強さはピストンのスプリングを弱くしても追いつきませんでした。更にスコープのレティクル調整を一番下にしても、マルゼンSGM弾はA3の的紙に入りませんでした。それどころか、的の中心から30cm以上下を狙ってようやく的紙の上をかすめる程度でした。ど真ん中を狙おうと更に下を撃つと、無情にもBB弾は地面にぶつかりました。HOPを弱められないパイパツキンの弱点がここにあります。
現在では筆者の部屋の片隅に転がっているパイパツキン加工されたTNバレルですが、いつか再びテストしてみたいと思います。
パイパツキン加工をされる方は、くれぐれもバレルの削りすぎにご注意ください。

「外径8mm・内径6mmのシリコンチューブ」


 狙撃万歳のKAKIさんが125mm・140mm・120mm・平均128mmという前人未踏の記録を、10発3回連続で残した際に採用していたHOPパッキンです。狙撃万歳での「命中確率データ@自分用」でご本人は忘れたと仰ってますが、パッキンとシムゴムに関しては、このシリコンチューブとソルボソフトの組み合わせだと当日KAKIさんから伺いました。
この素材もやはり東急ハンズで購入できます。10cm単位での販売です。
内径6MMのチューブに外形8.5MMのバレルを突っ込むのですから気合と忍耐力が必要です。長めにとったチューブにオイルをたっぷりと塗って、バレルを曲げてしまわないように少しずつゆっくりと挿入していってください。充分な長さまで挿入できたら、バレル後端でチューブをカットします。チューブをゆっくりと横方向に回して、滲み出すオイルを少しでも拭き取った方がいいでしょう。
筆者はばちかぶりバレルでこれを試したのですが、HOP穴が縦に狭く横に広いため、被せた状態で既にチューブがバレル内に落ち込んできてしまいました。かなりの力でチューブ自体が縮もうとしていたようです。ソルボソフトと組み合わせて試射してみたのですが・・・やはりHOPが強くかかってしまいました。電動ノーマルバレル程度の穴の前後長がないと使用できないと判断し、30mテストは行いませんでした。同じ理由から、TNバレルなどには向かないかもしれません。電動ノーマルやEGバレルなどのように、穴の前後長がある程度ないものには不向きな手法だと筆者は考えます。
筆者が想像するこのパッキン最大の美点は「ズレない」ことです。大量のオイルを吹いて組み付けたにも関わらず、結構な力をかけないとこのパッキンはズレませんでした。純正HOPパッキンは簡単につまむことができるのはみなさんご存じでしょう。シリコンチューブは射撃毎の誤差が少ないのではないでしょうか・・・
ばちかぶりバレルには不向きでしたが、ここで筆者は新たな発想を得る事が出来ました。

「純正HOPパッキンとスーパーゲル(透明)・エアロチャンバーネオへのクロスレバー加工」

    簡単に切り出したクロスレバーです。
これを精密ヤスリで加工後、組み付けます。
加工後のクロスレバーをこのようにセットします。 組み込んでから1週間ほど経過したスーパーゲルです。見事にチャンバー内での形状に変形しています。 裏側です。HOPパッキンにラウンドして接触しているのが変形形状から推察できます。


このレポートを書いている時点での筆者のセッティングです。これが最終形であるとは考えていませんが、今までの30mテストで最も好い10発でのグルーピング結果を残しています。3回平均での最高記録もチャンバー周りはこのセッティングでした。
遅まきながら、シリコンチューブを試してみて、電動の純正HOPパッキンが実はバレルに対してブカブカだったことに筆者は気づきました。これをキツくして、UHOP以外の方法でHOPパッキンを面で押せないかと考えて、この手法に辿り着きました。
パイパツキンの完全な落とし込み、シリコンチューブと悪い結果が続いて凹んだ筆者はフラフラと東急ハンズに出かけました。何度も立ち寄っていたソルボセインなどが置いてある緩衝材のコーナーで筆者は初めてスーパーゲル(透明)に気づきました。てっきりソルボハードよりやや硬い水色のものしかないのだと思い込んでいたのですが・・・袋の上からぐいぐいと容赦なく指で押し潰してみても、素晴らしい弾力であっという間に復元していきます。ソルボソフトよりも若干柔らかい手応えです。指先でイジッていると癒し効果もあります。
筆者は藁にもすがる気持ちでこれを購入しました。同じ日にUHOPで使ったプラの半円丸棒を購入した模型素材コーナーに立ち寄って、ABS板を購入しました。
クロスレバーの素材は0.5mm厚のABS板で、十字の縦はできるだけ長くとりました。だいたいの大きさで切り出し、あとはエアロチャンバーの通路と現物合わせでヤスリにて成形。
なぜ十字なのか? 最初はスーパーゲルを上から押さえる横板を取り付けるつもりでした。UHOPの逆バージョンですね。KAKIさんが既に試していて好結果だったようなので、筆者も試してみようとABS板を購入していたのですが、エアロチャンバーのシムゴムを落とす穴や通路をノギスで計っていたときに閃きました。十字架だからといって、決して神の声を聞いたわけではありません。
製作にあたって、十字の角がピシッと決まるように神経を使いました。ここが動いてしまうようでは十字にデザインした意味がありません。ここでズレないように十字にしたわけです。KAKIさんはレバーに横板を直接接着するという荒技を使っていた模様です・・・漢ですね。
レバーも2種類作製してみました。シムゴムを落とし込む穴をぴったりと塞ぐタイプと、四隅から上へシムゴムを逃がすタイプです。かなり柔らかいシムゴムなのですが、さらに逃げを作った方が好い結果が出るかもしれないと思って比較のために2種類作ってみました。10発で95mmのグルーピングが出たときは、四隅から逃がすタイプを使用していました。ベストが100mmで3回の平均が136mmちょうどという現時点で最も成績が良かった回のテストではぴったりと蓋をする方を使用していました。平均136mmの時はピストン(10g増)とスプリングを変更していたので、10発95mmの時と単純な比較はできませんが・・・
シムゴムのスーパーゲル(透明)は3mm厚のものを購入しました。これを高さ4mm程度とやや厚めに切り出します。このシムゴムは、チャンバーにセットしている間にどんどん変形していきます。バレルに開いた穴の形状に広がっていくのです。バレルの穴に面しているHOPパッキン全体にテンションをかけることとなります。これは組んで2週間後くらいにバラしてから気づいたのですが、筆者には嬉しい誤算でした。四隅から逃がすタイプのクロスレバーを使用するときはシムゴムをもう少し厚めにカットした方が良いでしょう。シムゴム自体が日に日にヘタッていくため、4mm厚では1ヶ月持たないかもしれません。この性質上、新しいシムゴムは熟成期間を要します。組んですぐには最高のパフォーマンスを発揮しません。できればHOPをある程度かけたまま、半日程度放置してください。ただし、UHOPのソルボソフトのようにザクザクになってしまうことはないでしょう。驚異の弾力性です。

※筆者注
2003年12月現在、筆者のエアロチャンバーには2ヶ月以上の期間、同じスーパーゲルを入れっぱなしにしてありますが、特に不具合はありません。長くても1ヶ月程度で圧縮されての変形は止まるようです。ゲーム使用時でもその日その日で厳しくHOP調整などをしなくても問題はありません。ちなみに、mm単位のグルーピングを詰めていく30mテストと、ゲーム使用時では、求められる弾道も変わってきます。ゲームでは伸びのある力強い弾道が筆者の好みです。
横幅はシムゴムを落とす穴の横幅にきっちりハマるようにカットします。筆者はノギスを上からあてて7.2mm幅でカットしています。素材の性質上、まっすぐに刃を入れると下の方が長くカットされてしまうのでご注意ください。極力新しい刃を使った方がいいでしょう。
余談ですが、アルミテープなどをきっちりとした数値でカットしたい時などは任意の幅に広げたノギスに直接貼るとかなり正確にカットできます。ムサシノ製作所のエガワさんに教えていただいた技です。ちょっとしたことかもしれませんが、職人の技に筆者は感心してしまいました。

 
 クロスレバー加工と前後して、ムサシノ製作所のエガワさんにわがままを言って、エアロチャンバーとバレルの間に噛ませるカラーを製作していただきました。エアロチャンバーのバレル側についているOリングに替わる、ジュラコンから削りだしたパイプ状のカラーです。これを組むことによって、チャンバーとバレルの芯出しが容易になりました。バレルとチャンバーの固定もかなりしっかりします。マズル部を押さえての気密がかなり上がったのは考えになかったのですが・・・HOP穴かHOPパッキン後端からかは不明ですが、チャンバーからアウターバレル内にエアが漏れていた可能性があります。ここの気密が上がった事とグルーピングの向上に関連性があるかどうかは現時点では不明です。
 さらに変更した点は、HOPパッキンとバレルの組み方です。従来はパッキンを軽くグリスアップして組んでいました。シリコンチューブの経験から、パッキンはズレない方が良いと考えた筆者はこれを止めてみました。
 代わりに、バレル外周に0.1mm厚のアルミテープを二重に巻き、これに脱脂した純正HOPパッキンをキツく突っ込んでいます。内側からキツくテンションをかけられたHOPパッキンはチャンバー内でズレにくくなっているのではないかと考えています。
 バレルへのアルミテープ巻き、純正HOPパッキン、クロスレバー、スーパーゲル(透明)の組み合わせでは、強めのHOPの方がグルーピングが良くなります。おそらくシムゴムの性質によって最も安定する加減が変化するのでしょう。硬めのシムゴムを用いている場合は弱いHOPの方が着弾がまとまります。
 以上が筆者が今までに試したエアロチャンバーとHOPパッキン、シムゴムのアレンジです。これからも新しいアイディアが生まれ次第、随時テストしていくつもりです。エアロチャンバーやバレル、ノズルのセンター出しについては触れませんでしたが、これは筆者が特別な工夫を施していないからです。エアロチャンバーネオの最大の欠点、HOPの傾きがあるため、着手する気にならなかったからです。マガジンレールの加工などを考えていますが・・・、現時点では保留にしています。可変・固定に関わらず、時間と経済状況が許す限り色々なチャンバーをテストしてみたいと思っています。


「可変HOPチャンバーとパッキン・シムゴム 今後の可能性」


 エアロチャンバーネオを2ヶ月ちょっとイジッただけで、可変HOPの何がわかっているのか・・・このレポートを書いてつくづく自分の知識とスキルの貧しさを痛感しました。
 現時点では結論を出せないということが結論でしょうか。まだ山の頂上には雲がかかっていて見えてきません。今後も地味なテストを繰り返していきたいと思います。
HOPチャンバーをチューンしただけではそのライフルの性能によるベストグルーピングは出ないでしょう。APS2を始めとしたボルトアクションコッキングライフルは手を入れる部分がたくさんあり、多くはアフターパーツ(中には効果に疑問が残るパーツもあるようですが・・・)を組み込むことになります。基本的にこれらのパーツ類はポン付けでは最高のパフォーマンスを発揮しません。何かしらのアレンジを施して、本来の性能を引き出してやる必要があります。そしてイジればイジるほどセッティングはシビアになり、より高度な射撃術も必要となってきます。これが道具として正しい姿であるとは筆者は思っていません。「誰が撃っても当たるライフル」であることが本来求められるべきでしょう。しかし手をかけてやればそれだけAPS2のアキュラシーは向上します。ほとんどの試みは失敗に終わりますが、改造やテストそのものもとても楽しい遊びです。この遊びにハマることができる人間は幸せです。チューンの効果を確認できた時に無上の悦びが待っているでしょう。
元々ノンホップで撃ち出すことを前提に発売されたAPS2は、設計の段階における基本思想がすでに古いものなのかもしれません。アキュラシーに関する技術は日々進歩しています。箱出し状態で、ある程度までチューンしたAPS2以上に当たるCA870や、近々発売が予定されているAPStype96などによってAPS2シリーズは淘汰されてしまう運命にあるのかもしれません。東京マルイがボルトアクションライフルを発表しました。これがエアコッキングであった場合、APS2はますます隅の方へ追いやられていくかもしれません。しかしエアガンにアキュラシーを求める人間はいなくならないでしょう。今までに培ってきた技術やノウハウが無駄になることはありません。
テスト結果は時に残酷です。自分なりに良くなるはずだと思った手法が無残にも打ち砕かれます。凹みます。凹みながら東急ハンズやホームセンターを徘徊する姿は映画で見るゾンビのようです。今までに常識とされてきたものも次々と覆されていきます・・・しかしそれも、エアガンのアキュラシー向上に取り憑かれた偏執狂たちが新たな常識を打ち立てていくことでしょう。

「30mテスト」


30m先に設置した的の黒点にレティクルのセンターを合わせる・・・そのド真ん中を6mmBB弾で撃ち抜く・・・現時点では100発中1発出るか出ないかです。100発全てを黒点に叩き込むことが夢想できたら、30mを計れる巻尺を購入してください。
30m巻尺はネットオークションなら1000円以下で購入できます。的紙はなんでも構いませんが、よろしければ困ったちゃん公式ターゲットをプリントアウトして使ってください。十字の線が長く狙いやすいです。最初はA3サイズから始めるのがいいかもしれません。A3プリンタをお持ちでなかったら、A4サイズをプリントアウトしてコンビニでA3の紙に等倍コピーしてください。30mテスト時のHOP調整はグルーピングを基準にして行った方が良いでしょう。水平射撃の弾道を目視しているだけでは良い位置は探れません。的紙を使用して入念に調整することをお薦めします。最もまとまる位置が弱HOPでまっすぐ的まで届かなかった場合はスコープを調整しましょう。スコープのゼロインは最後に行った方が良いと思います。ゼロインの方法はガニー軍曹の射撃講座に詳細があります。HOPとスコープの調整はとても大事です。ご自分の調整方法を探ってください。
全ての準備が整ったら、連続10発で3回(3枚)撃ってみてください。テストの結果に不満を感じたら、ネット上に散らばっている情報をかき集めて、ご自分の頭の中でそれらを一度咀嚼してください。仕入れたノウハウをそのまま試してみるのもいいかもしれませんが、自分で考え理解してから挑戦した方が良いでしょう。その手法と技術が確かであれば、貴方のライフルはもっと当たるようになります。貴方の大切なライフルです。個人で改造を施した結果にはメーカーも補償をしてくれないでしょう。当然筆者にも補償できません。くれぐれも大切なライフルをジャンクにしてしまわないようにお気をつけください。
一人でも多くの方に30mテストへ参加していただければ、同時に色々なテストが可能になります。

2003年9月
 了




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