運悪く強風の中でのテストとなってしまいましたので、あくまでも参考記録ですね・・・むしろこの強風を考えれば大健闘の結果だと思います。
いつも通り巻き尺で計った30mの距離・風は強い追い風でした。
1回目は1発外し。左上へ激しいフライヤーが発生しました。
2回目は2発外し。
3回目のみ10発がなんとかA3の的紙に収まっています、255mmでした。
実は今回のテストで、早速トラブルに見舞われました。
それは2回目のテストの時でした・・・5発目から弾が大きく下へドロップし始めたのです。外した2発はいずれも的紙の真下へ逸れました。この時、発射音に明らかな変化がみられました。弾が詰まったような静かな音(元々かなり静かな発射音なのですが)・・・初速が足りなくて的紙まで届かない、そんな印象を受けました。着弾痕を見ても、下へ行けば行くほど凹みが小さく、一番下の着弾痕は的紙に穴さえも空いていませんでした。
不本意ながら、3回目のテストではスコープのエレべーションを上へあげて行いました。このトラブルに関して、現時点では原因は不明です。シリンダーが分解できない構造になっているようなので、その中の欠陥でなければ良いのですが・・・
シリンダー以外に関しては、近いうちに分解して構造を探ってみようかと思います。私がハズレ個体を引いてしまった可能性は多いにありますが(^^;
このように、あまり参考にならないテストとなってしまいましたが、今後チューニングをしていく上での問題点はいくつか発見できました。
鳴り物入りで登場したVSR10ですが、個人的にいくつか苦言を呈させてもらいます。
私個人の好き嫌いがかなり入っている意見ですので、興味のない方は読み飛ばして下さい。
<トリガープル>
これに関してははっきりと不満です。
トリガーBOX自体は初めから金属製のガワを用いていて大変結構なのですが、シアの落ち方に不満があります。
メーカーのHPにあった動画を見て、悪い予感はあったのですが・・・私なりの表現で言えば、「ズルッ」と落ちるのです。
トリガーBOXには、なんとトルクスネジが使用されていて、このサイズのレンチを持っていなかったのでまだ分解はしていませんが、トリガーBOXに空いたいくつかの小穴を覗いていじくりまわした上での感想を述べます。
トリガーバーはトリガーBOXの中で前後に通っている長いバーに接触しています。
この長いバーに切り欠きが入っています。シアにテンションを掛けながらトリガーを引き絞って行くと、この切り欠きがトリガーバーの上に落ちてきます。この長いバーは先端で支持されていて、そこを支点として斜めに落ちてきます。その結果、テンションの掛かったシアが落ちることを許されるのです。
ピストン後端のシアが掛かるを観察してみると、これに斜め45°くらいの傾斜がついています。ここに同じ角度を設定されたシアがかかります。ここだけを見ると、トリガーを引いた時にシアは手前に倒れます。
かなり高度な力学の応用が用いられているようなのですが、この構造がトリガープルを台無しにしているのではないでしょうか。
狙撃者にとって、トリガーを引き絞ってシアを落とす瞬間というものは、ほぼ唯一の快感です。勿論その先で、弾が狙った的にヒットすればさらに大きな快感が得られますが・・・
長いライフルを苦労して捌きながら標的となる電動ガン使用者へ近づき、スコープの中でその姿を捉える・・・その決定的な瞬間に指先に伝わる感覚が、シアが落ちる「ズルッ」としたものだったら・・・快感は半減してしまうでしょう。
この苦言がとても贅沢なものであることは重々承知しています。
APS2以外の多くのボルト・アクション・ライフルのシアの落ち方はVSR10よりも酷いものがほとんどです。
トリガーの引きシロやトリガープルの調整を六角レンチ1本で簡単に済ませてしまえる点など、他のライフルにはないものです。
しかし、狙撃者にとってトリガープルは他の何物にも代え難いコダワリなのです。
VSR10の場合、これを個人レベルの調整によって快感度の高いものへ変更するのは難しそうです。
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ピストン後端は斜めにカットされている。 |
ピストンのカットと同じ角度のシアをレシーバーのポートから観察。 |
トルクスネジが使用されているので、分解には専用のレンチが必要。 |
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VSR018 トリガーバー上端に長いバーが掛かっているのが右の小穴から見える。シアのカムが上部にあるのが左の小穴から見える。 |
長いバーの切り欠きがトリガーバー上端に落ちているのが右の小穴から見える。シアが下がっているのが左の小穴から見える。 |
<重量>
手にしてみればすぐにわかります。全体的にとても軽量な造りになっています。勿論、これを歓迎する人間は多いでしょうが、個人的にはこの軽さが少々不安です・・・まるっきり好みの問題ですね(^^;重くしていくのは簡単な作業ですから・・・(笑)
<HOPパッキンへテンションを入力するシムゴムの存在>
チャンバー後部から覗き込んだ限りでは、HOPパッキンは全くの新規のものを採用しているようです。これに関してはチャンバー分解後に感想を述べようかと思います。問題は、パーツナンバーVSR−25・クッションチューブ・¥30の存在です。ご存じの通り、電動ガンのHOPチャンバーにも採用されている部品です。
エアロチャンバーネオで電動バレルをAPS2に採用したときに、この部品で散々試行錯誤を繰り返しました。これを別の物に変更すると、抜弾の変化が顕著に現れる部品でもあります。APS96と比較してみると、96ではこのシムゴムがありません。HOPパッキン自体に窪みが設けられていて、ここの変形だけで抜弾の逃げを確保しています。シムゴムの採用が即命中精度の悪化を意味するわけではありません。むしろ独特の効果を発揮していると思います。
しかし、部品点数が増えるほど、射撃毎誤差の管理は難しくなっていくと私個人は考えています。東京マルイがどのような新規のシステムを採用するか、とても楽しみにしていたのですが、従来の方式の組み合わせだけであったことに少々ガッカリしました。
現時点ではこの3点が不満に感じられます。
逆に言えば、この3点しか大きな不満がないのです。
レシーバーやアウターバレルの強度、チャンバーとストックとのがっしりとした結合など、基本的な構造には素晴らしいものがあると思います。
そしてなによりも低価格です。この価格でこの造りであれば、ボルト・アクションを初めて購入する人間にも安心してオススメできますね♪
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シリンダーにはピンが打たれていて、分解を難しくしている。治具を差し込む穴は1つだけしかない。 |
チャンバーとストックを結合するブロック。前後2本のネジでチャンバーにがっしり固定されている。中央の穴はストックと結合させるネジが入る穴。思いっきりズレている(泣) |
結合ブロックを裏から観察。さらに別部品があり、ストックと結合するネジがここに入る。製造公差への配慮からこれを採用していると思われる。ブロックの穴はズレていたが、この部品が多少前後に動くので、問題はなかった。しかし、ネジがこの別部品へ入ると途端にネジの回りが堅くなる。 |
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