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Tech Report  クリーンヒッター理論 1

クリーンヒッター理論

■クリーンヒッター理論掲載に際して


クリーンヒッター理論というのは、実銃、エアガンでの命中率(集弾率)アップのための
基本理論です。私が高校生〜大学生のころにまとめたものを、後に発表しました。まだ、HOP UPさえ無かった時代です。MGCのM93Rが発売されて間もないころです。命中率、集弾率という言葉を使う人も少なかったです。読み返してみると、文章の下手さは如何ともしがたいものがありますが、内容そのものは、現在でも意義があるのでは・・・と、甘い考えでいます。
 不完全さが目立つ理論ですが、エアガン好きの方に、きっかけを与えられると思うからです。集弾性を上げるのは偶然や精神論ではなく、しっかりとした科学なのだということです。ぜひ、誰かの手で、第二、第三のクリーンヒッター理論を打ち立ててください。
期待しています。

KEN NOZAWA

『クリーンヒッター』この名は何度となくCM誌上に顔を出している。クリーンヒッターというのは競技用のカスタムモデルだ。どうして競技用カスタムハンドガンなど作る気なったのか?一言で表現するならば,「現在売られているハンドガンがゼーンゼン当たらないから」となる。ではクリーンヒッターは当たるのか?と聞かれれば、胸をはって「モーチロン当たります」と答えられる。
外観は完全なるノーマルだが、グル一ピングは5〜6倍よくなっているのだ。『羊の皮を被った狼。第3回プラチナカップ・ステージIIで2位になった岸哲男君は、クリーンヒッターをそう呼んでくれた。もちろん、岸哲男君の愛用銃はクリーンヒッターだ。第3回プラチナカップを総なめにし、多くのマニアに疑問をなげかけたクリーンヒッターには謎が残されている。

"なぜ当たるのか?"

これだ。今までに多数の読者から、クリーンヒッターの秘密を知りたいといった内容のハガキをもらった。ぼくもチャンスさえあればいつでも書きたいと思っていた。そんな折りも折り、あかがねさんの貴重なぺ一ジを3ヶ月間だけケンが自由にしてもよいという天のお告げがあった。そこで今月より秘密を書くことになりました。今月はPART1「クリーンヒッター誕生」。来月は「グル一ピングの謎を追う」、最後は『クリーンヒッター・マークU』の予定。君の愛用銃のグルーピングが良いか悪いか知らんケド、この3回のレポートを読んだら改良法のヒントはつかめるはず。そうなれば,第4回プラチナカップで賞品のエアーソフトガンをもらえるんじゃないの。もっとも読者全員がヒントをつかんだら同じか……。

ガンに興味を持つようになるきっかけというのは人さまざまだと思うけど、ぼくの場合はガンの持つ絶対的パワーに引かれた。人間誰しも、他人より強くなりたいと願っている。現代社会では地位や名誉、それに経済力の有無が強弱の尺度とされることが多いが、男ならやはり腕っぶしで勝負したいと考えるものだ。若き日の大山倍達氏は、山にこもり1日11時問にも及ぶハードトレーニングを1年半もの問続けたという。坂のきつい山を2時間ダッシュ。腕立て伏せ2000回。腹筋・逆腹筋運動200回ずつ。これの毎日だった。他にもバーベル、綱を利用してのトレーニングや石割りなどを行なっている。練習量がケタ外れなら、強さの方も人間を超えている。あらゆる格闘家と戦うこと数百回。そして全勝の引き分けなし。大山氏こそ人間の限界に最も近付いた人物といえると思うが、実は氏と同レベあル以上に強い人は何百何千といるのだ。それはガンを手にした人間だ。ガンを手にした時、人間は超人になれる。ぼくはそこに何よりも引かれたわけだ。ガンこそ,男たちの夢を適える魔法の杖ではないだろうか。ガンの持つ絶対的パワーに引かれたぼくは、次に命中率へと興味が移った。それはパワーというものに神秘性のカケラもなかったからだ。ショッキングパワーを上げるには重いタマを高速で撃ち出せばよい。これで終りだ。タマに何だかんだと細工するという手もあるが、それ以外には秘密など何もない。どうもスッキリ、ハッキリしているのでアキてしまった。それに対して命中率は違う。タマの重さ、速さ、直径、全長、それにスピンの速度・・・。何から何まで謎だらけ。どう組合わせたらベスト・グルーピングが得られるのか非常に難しい。だからこそ追求のしがいがあり、興味が深まる一方だった。

ガンを、万力のような物でガッチリと同定した状態で撃ったとしたら、飛んで行ったタマは常に同じ所に命中するだろうか?まだ中字生だったころ、ぼくは一点に集まると信じていた。ところが、Gun誌のタークさんの記事を、読んでみると、決して一点には集まらないことがわかった。近くには当たるが一点ではない。「なんで同じ銃で撃つのに一点に集まらないんだろう・・・」この疑問を持ったまま高校生になった。高校時代の3年間はガン一色だった。特に命中率に関して知りたいことが多かった。例えば……。「飛んで行くタマがスピンしていて、それが命中率を上げるためである」という事実は多くのマニアが知ってるが、『なぜスピンすると命中率が上がるのか?』に答えられる人は少ない。当たり前だ。これは大学で物理学を専攻している人たちのテストになるくらい難しいのだ。そうそう、タマのスピンの.話が出たのでちょっと書きたいことを思い出してしまった。銃で撃たれた場合、タマが人体へ人る時の穴は小さいけど出る時の穴は大きいというのがある。ぼくは本か何かで、『タマがスピンしているために、このようなことが起こるのである・・・』というのを読んだことがある。しかし、ちょっと変だ。人間の身体は72%が水分。そんなところへ小さい小さいツルツルのタマが入って来たところで、スピンの膨響は出ない。何しろタマが体内にあるのは0.0006秒位なのだから短かすぎる。たぶん洗濯機から来た発想じやないだろうか。洗濯機の底にはウズを作り出すための円板がある。円板は両手で隠せる程度の大きさでしかないが、回転すると大きなウズ'ができる。射入口と射出口の大きさの違しは、タマによって起こる波動だと考えているのだが、どうだろう。同じ考えの人がいたら手紙下さい。

ぼくは高校生時代、数学と物理が大好きだった。多少の自信もあったため、命中率に関するスピンの定数を発見しようとした。だが、これは簡単ではなかった。空気抵抗の問題がでて全てがパーになってしまったのだ。高校生の範囲では無理。そういわれると余計に燃えた。何が何でも手がかりを見つけ出してみせる。そこで、命中率とバレルの長さの関係をまず見つけ出すことにした。バレルは短いよりも長い方が良く当たる。どうしてそうなるのか知りたかった。そこで20〜30人のガンマニアに対し、この理由を聞いてみた。誰かが答えを教えてくれると思ったからだが、期待は外れも外れ大外れになってしまった。ガンに興味を持って1O年以上になるというマニアたちばかりだというのに、誰も答えを知らないのだ。ここでいう"良く当たる"というのは人が撃った場合でなくて機械に固定してだよ。中には「バレルが長い方が初速が高いからだ」と答えた者もいるが、それならマグナム弾の方が良く当たるということになって事実と合わない。また,「タマに方向性を与えている時間が長いからだ」といった答えもあったが、これは単にバレルの長さを時間に置き変えただけでしかない。ぼくはいろいろと考えた末、バレルの長さと命中率の関係を次のように出した。『バレルの長さと命中率の2つは、直接的には何の関係もない」である。これには反論が多かった。明らかにバレルの長い方が当たっているのに、何の閑係もないとは何ごとか!というのだ。そういわれればそうだが,それ以外に考えられなかった。自信はあっても上手く説明はできず、モンモンとしたまま大学生になっていく・・・。

大学生になっても生活の中心はガンだった。高校生のころに残してあった課題を1つずつ解決しなければならない。まずタマに与えられるスピンについてだ。ガンの歴史は1日や2日ではないのだから、そこには多くの約束があるはずだ。だからタマにスピンを与えるにしても、何らかの定数があるに違いないのだ。まず考えたことは、全てのガンはライフリングのピッチが同じだろうというものだった。しかし調べればすく"にわかるように、ガンによってライフリングのピッチは違っていたのだ。イカン、イカン。たぶん単位時間での回転数が同じなんだろうと考え、各ガンから発射されるタマの初逃を、それぞれのガンのライフリングのピッチで割ってみた。こうすると1秒間に何回転するかわかるのだ。これでどのガンも同じ値が出るものと信じていたが、これでもガンによって別々の数値だった。おかしい。ガンによって条件が異なるとは思えない。各メーカーはガンを設計する際に、最良のグルーピングが出るようライフリングのピッチを決定しているはずだ。ならば最良となるための"条件"を知っていることになるし、その値を全てのガンに導入しているはずだ。

ぼくは、目の前の22LRと9mmパラベラム弾の写真をジッと見つめた。ウーム,ム,ム。そうか、わかったぞ!2つのタマは人きさが違うのだ。つまりメーカーはタマの角運動量を一定にしているだな・・・。そこでスピンしているタマの角運動量を求めまくった。角運動量というのは、どれ位激しく回転しているのかを現すものだ。ぼくは全てのタマの角運動量が一定になるという事実が、ノートの上に数値となって並ぶことを待った。ハンドガン用カートリッジ7種の角運動量が求められた時、ぼくは愕然としてしまった。これまた数値はメチャクチャなのだ。いったい各ハンドガン用のタマで何が違うというのだ。条件は全て同じのはずだが・・・。

ここで話を整理しよう。タマ(遅くなったけど、ブレットね)に与えられる回転数は口径やガンの違いによって異なるが、何か共通するものはないだろうか?ということだ。それに対して角運動量を調べたが一定にはならず、角エナジーも同様だった。22LRと9mmパラベラム弾では何が連う?9mmパラベラム弾と、357マグナム弾ではどうだ?これには悩まされたが、答えは極めて簡単なものなのだ。それぞれブレットの形と初速が違っている。つまり空気抵抗が一定ではないということだ。そこで各ブレットが飛んでいる時の空気抵抗を求め、これで角運動量を割ってみた。つまり、IW/ 1/2ψV二乗CDS(角運動量÷空気抵抗)を求めたのだ。はたして・・・。ここでやっと結諭が出た。ついにライフリングの秘密が解けた。どのメーカーのハンドガンでも、上式の値一定になったのだ。ハンドガンとは違うが、ライフルでも定数が出た。ガンの持つ正確無比なる命中率は神様の仕業でも何でもなく、1つ1つの計算の上に成り立っている人間の努力の結晶なのだ。

これを自らの手で証明した時、ぼくは高校生時代に立てた自分の仮説が正しいという自信が持てた。『バレルの長さと命中率の2つは、直接的には何の関係もない』という例のアレだ。バレルの長さが3インチあれば、6インチのものと同じ命中率が得られる。そんなガンも考えた。理論的には3インチも6インチも同じ命中率だ。いつの日かアメリカでぼくの考えたガンを作ってもらいたいと思い、現在、お金を少しずつためているのだ。ここ2年ばかり、エアーソフトガンがブームになっている。そこでぼくの仮説が正しいことを証明すべく、カスタムハンドガンを作ることにした。証拠を見せてやれば仮説を信じてくれると考えたからだった。マルゼンのM59をべ一スとして手を加えていった。

2つの問題がクリアーできればバレルは短かくても命中率は高くなる。2つとは,1:初速を一定とすること。2:BB弾の空気抵抗を一定とすること。これさえ守れば実物のガンでもエアーソフトガンでも良く当たるのだ。そしてクリーンヒッターを完成させた。では、どうやって初速と空気抵抗を一定にしたのか?それは次回にしよう。信じられないかもしれないけど、P7で作ったクリーンヒッターは5m5センチのク"ルーピングを楽々と出してくれる。バレルの長さは47mmだというのに・・・。このへんの秘密も次号で書くかんに。


PART1:クリーンヒッターの秘密コンバットマガジン1985年11月号より転載

PART2:グルーピングの謎を追うコンバットマガジン1985年12月号より転載

PART3:クリーンヒッター・マークUコンバットマガジン1986年1月号より転載

番外編

クリーンヒッターの秘密総集編 PART1
コンバットマガジン1986年8月号より転載

クリーンヒッターの秘密総集編 PART2
コンバットマガジン1986年9月号より転載


※20年前の記事ですので現在では間違っていることもあるかもしれません。が、理論的に追求する姿勢は今も昔も変わらないと思います。



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