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新型ターゲットペーパーの
ダウンロードを始めました

新しいターゲットペーパーはA3サイズでプリントすると罫線の間隔が1cmになるように作られています。
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Tech Report  十兵衛軍曹の狙撃講座

KSC HK53
  1. 第一回「十兵衛軍曹の射撃講座:その1」

  2. 第二回「十兵衛軍曹の射撃講座:その2」

  3. 第三回「十兵衛軍曹の射撃講座:その3」

  4. 第四回「十兵衛軍曹の射撃講座:その4」

  5. 第五回「十兵衛軍曹の射撃講座:その5」

  6. 第六回「十兵衛軍曹の射撃講座:最終回」

  7. 第七回「十兵衛軍曹の射撃講座:補習編」

■十兵衛軍曹の射撃講座:その2■



ガニーの競技射撃の最初の公式試合は16才のときで、成績は悲惨なものでした。
射座に立った瞬間に足に力が入らなくなり、ガチガチの状態で試射を行った挙句本射の初弾は、いきなり2点!その後も数発があさっての方向に着弾しました。疑心に駆られて、ライフルが信用できなくなると、
「はずして撃った方が当たるかも・・・。」
という妄想に惑わされます。結果は予想以上の大失敗。このとき、ガニーの頭の中は
「・・・早く終わらせて、また控え室で仲間とくっちゃべりたい!」
という逃避願望で一杯でした。

というわけで、今回は「プレッシャーに対する心構え」についてお話します。と言ってもプレッシャーは誰にでもあるものなので、「コレ」という解決策はありません。結局のところ、訓練や経験を積み重ねることが一番の近道でしょう・・・。
ただ例外として、普段はボーっとしているのが大好きで、趣味や生活習慣が、ものすごくマイペースな人は、プレッシャーに強い人が多いようです。芸能人に例えると「稲垣吾郎」や「山口もえ」などがそのタイプだと思います。逆に、「プライドが高く、神経質で、自分の考え方しか信用しない」という「ゴルゴ13なりきりタイプ」のような人は、意外とプレッシャーに弱いです。こういう人は、「他人がどこかで自分の悪口を言っている事が、死ぬほど許せない」という思考で生きているので、勝負の前からすでに「恥に対する不安」で自滅しているのです。悲しいことに、銃に興味がある日本人のなかには、15人に1人くらいの高確率でこういうタイプの人が存在しています。

さて、射撃に重要な精神力のなかには、前回お話した「集中力」をベースにした他に
『緊張感』と『平常心』の2つが補助的に必要とされます。

「緊張感」はプレッシャーに直結するイメージがありそうですが、これが全くないと集中力を長時間保つことが出来ず、1発1発を無駄に消費してしまいます。あり過ぎると困るものなのですが、無さ過ぎるのはもっと困るので、緊張感は上手に飼い慣らさなくてはいけません。焦らず・不安にならず・雨に濡れた仔犬を扱うように、優しくコントロールしてあげる必要があります。「緊張感は心の中の仔犬」そのように覚えておいて下さい。

次に「平常心」ですが、我々はライフルマンなので、禅寺の高僧のような平常心を身に付ける必要は全くありません。要求されるのは射撃をしている時も、していない時も、「精神状態が常に一定のテンションである」ということです。風呂に入っているときや、トイレで考え事をしているときと、同じような気分でライフルを構えられる。というのが理想的です。まあ、実際はプロのライフルマンでも、こういう人は数えるほどしかいないのでとりあえず、あなた方の場合は今日から「心構え」として覚えていてくれれば結構です。何事も、特にライフルの世界では、焦って火中に栗を拾うようなマネは、絶対にしてはいけません。全てにおいて「着実に」がモットーなのです。

これらの精神要素は、最終的には「冷静」とか「自己抑制」というキーワードにつながります。

一部のマニアの方は、このテの言葉が放つ、「映画的」な耳ざわりの良さを、変に解釈して、ことさら「クールな自分」を装いたがる傾向がありますが、これらは「持続性の高い集中力」「適量の緊張感」「安定した平常心」の三本柱が確立されて、初めて身に付くモノですのでみなさんは決して、付け焼刃の自己演出をするような、イヤらしい人間にならないで下さい。

今回はこれで終了しますが、あまりにもガニーが精神的な話ばかりするので、
「さっさと技術的な話しろよ〜!ガニー!」
と思っている方も多いことでしょう・・・。しかし、そんな「待ちの状態」に耐えられないアナタ!銃口のブレが止まらずに、見切り発射で「神だのみショット」を何度も撃った経験のある、せっかちなアナタ!この話はアナタのような人のためにしているのです・・・。

次回はフォーム(構え)についてお話しますが、小手先の技術というものはあくまでも
『集中力』の補助に過ぎないということを、深く肝に命じておいて下さい。

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