■十兵衛軍曹の射撃講座:その3■
今回はフォーム(構え)について勉強しましょう。しかも立射で・・・。
みなさんは比較的、伏射がお好みのようですが、伏射も膝射も単なる立射の応用編に過ぎません。ここは基礎からしっかり学びましょう。
まず、足を肩幅程度に開いて、右射手の方は左の腰に手をあててみて下さい。手の平を骨のカーブに沿わせたら、拳にあたる部分が正面を向いている状態になるように、立ち方の角度を修正してください。つまり、体は標的に対して少しだけ半身になります。その際、心臓の位置からのまっすぐ延長線上に、標的があるというのが理想的です。
これが、基本的なスタンス(立ち)です。
次はパッド(肩付け)です。パッドは、ライフルを構える最も重要なポイントです。
まず、ストックパッドの部分を、肩の筋肉と胸の筋肉の間にある、「三角胸筋溝」という、鎖骨の下から脇の下に位置する筋肉の薄い部分に、がっちり食い込ませます。ストックパッドは下から食い込ませるのが良いでしょう。この際、右の脇を少し締めることで、更にストックを固定することが出来ます。
次にチーク(頬付け)です。
チークの役割は、ストックが上もしくは前にズレないように固定することです。頬骨をストックに当て、肩の食い込みを意識しながら、ゆっくりと顔を沈み込ませて行きます。このとき、ストックが下へ滑ってしまうようでしたら、それはパッドがおかしいということですので、もう一度、全てをやり直してください。
最後はアーム(左腕)です。
腸骨上端(骨盤の出っ張り部分)に、肘の骨を丸くはめ込んで、左手の上にライフルを乗せます。骨と骨を合わせているだけなので、筋肉には全く負担がかかっていません。そしてこの場合、左手は無理してライフルをつかむ必要はありません。エアガンは無反動なので、握り拳の上に乗せても、ピンと張った指のハラで支えても問題はありません。
では、さっそく狙ってみてください。
ただし、体がまっすぐのままだと、ライフルはどうしても前下がりになるので、背中をほんの少し後方に反らせて、フォームを微調整して下さい。
さて、次の問題です。フォームがきっちり取れるようになると、今度は首が疲れたりスコープが覗けなくなったりします。姿勢が矯正されたのですから、無理もありません。ただちに、スコープ位置やストックの厚みを自分の体型に合うように調整して下さい。ライフルの固定は、パッド・チーク・アームの3点のみで行うのが基本です。右腕の力で強引にストックを肩に押し付けるような構えは、絶対にしないで下さい。
3点支持が完璧になると、グリップから右手をはずしても、決してライフルは落ちません。熟練すると、そのままボルトを引けるだけでなく、小指で耳の穴をほじるような事まで出来るようになります。ただし、そうなるまでには、何週間もの反復練習が必要ですが・・・。
何度も言っておきますが、ここは訓練所です。信じられないかも知れませんが、ガニーが今、ここで教えていることは、
通常の歩兵部隊では絶対に教えない、高水準で細分化された射撃技術です。つまり、ガニーは遊び半分で『ヨタ話のネタ』を提供しているわけでは無いので、これらの技術を、学んだその日から楽に出来るという、甘い考えは絶対に持たないで下さい。
では、次回もフォームについて勉強いたしましょう。
3点支持は、出来るまで何度でも反復練習しておいて下さい。 |